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2005/06/16

(藤代 裕之@ガ島通信)

総務省は2007年3月末に、ブログ利用者が約782万人(アクティブブログ利用者数は約296万人)になるとの予想を発表しました。04年度に約6.8億円のブログ市場が、06年度には約140.6億円に、関連市場も含めると1377億円に達するとのことです。やや打ち上げた花火が大きすぎる気もしますが、ブログサービス、広告、ソフトウエア、出版など、広範囲のマーケットがある程度拡大し、活性化することは間違いないでしょう。

この発表の後、日本のメディアをウォッチしているJapan Media ReviewのDavid Jacobson記者から、「日本のブログは数が増えているのに、なぜアメリカのように政治やマスコミに対して影響力がないのか」、「日本のブロガーは社会に対してどのような役割を果たせるのか」との取材メールが届きました。ちょうど私自身も関心を持っていたテーマでしたので、逆取材をお願いしました。メールが興味深いやりとりとなりましたので、ご紹介したいと思います(できるだけ原文に忠実にしていますが、一部読みやすいように編集しています。David記者からは掲載への了解を頂いています)。

David Jacobson(以下、D.J) → 藤代 裕之(以下、藤代)
『私は南カリフォルニア大学(USC)のジャーナーリズム学部が出版するJapan Media Reviewの記者、David Jacobsonと申します。日本のマスコミについて取材しております。
ご存知のとおり、総務省はこのほど、日本におけるブログの利用者数や閲覧者数が増えているという調査結果を発表しました。数は増えているにもかかわらず、政治界やマスコミに対する影響力はそれほど大きくなっていないように思われます。
それはなぜでしょうか。文化的、あるいは構造的な理由がありますか?
将来、日本のブロガーは社会(政治界、マスコミ)に対してどのような役割が果たせるとお考えですか? アメリカのようなシナリオは考えられますか?』

藤代 → D.J
『大変興味深い指摘です。いくつかの原因があるのではないでしょうか。まず、日本のネット文化とアメリカのネット文化の違いです。日本のネットユーザーたちはリアルから切り離されたところで、虚構を楽しむ傾向にあります。これが2ちゃんねるに代表される「ネタ文化」です。面白ければ、ウソでもホントでもかまわないという考え方です。
ですから、まじめな議論がネット界でおきにくい構造にあります。これは今のところブログでも同様です。そして、日本においてブログはまだ完全に根付いているとは言えません。ブログ人口も少なく、影響力も限定的です。日本のブログが社会に対して影響力を持つかどうかは、今後の展開次第です。
逆に質問ですが、アメリカのブロガーはリアル、サイバーなどのテーマで議論をしたりするのでしょうか? ブログとリアルのつながりはどうですか?』

D.J → 藤代
『インターネットの発展初期には、アメリカでも多くの人々が、オンラインで偽の名前を使用していました(「インターネット上で、誰も私が犬であることを知らない」というパロディがあるほど)。しかしながら、アメリカにおいてそのステージは、おおむね終わったと思います。ブロガーだけでなく、一般的なネットユーザーでさえ「サイバー」ステージを過ぎ去り、匿名や偽名(ペンネーム)で書かなくなりました。
非常に多くのブロガーがいるので、聴衆を得る唯一の方法は、バックグラウンドと経験を明らかにすることによって、信憑性を示すことです。有名なブロガーの多くが、メディアそのものになったことで、その過程は加速されました。それに、多くの有名な人々が、ブログを書き始めました。その結果、現実において誰であるかを明らかにしないでサイバースペースで存在を維持するのは、難しくなりました。
私が新しいブログを読むとき、最初にするのは、その人の経験と潜在的偏見の大体の感覚を見るためにプロフィールを見ることです。私は、他の洗練されたユーザーが同じようにすると思っています。』

実のところ「リアル・サイバー」「匿名・実名」については、結論がはっきりと見えていて書き始めたわけではありませんでした。

前回『ブログの普及は「匿名と実名」や「サイバーとリアル」論争をあっさり乗り越えていく可能性があります。「ブログ終焉」論争でも、「リアル」と言う言葉がかなり使われています。私には、この反応こそが、ブログがリアルに根ざしたコミュニティツールへ変貌を遂げようとしていることへの、リアルとサイバーを切り分けたいネットワーカーたちの反発、不安の表れではないかと思えるのです。』と書きました。

この、ぼんやりとした仮説が、David記者からのメールで、補強されたような気がしましたが(もちろん、David記者の意見のみでアメリカ全体のネット文化を論じるのは難しいことも承知しています)、この件に関しては、何事もアメリカを追いかけていると言われる日本で同じようになると断言できない気もしています。アメリカとは違ったネット文化、というよりも日本の文化が関係しているのではないか、との思いも捨て切れません。

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藤代 裕之@ガ島通信

元地方紙記者。1973年生まれ。血液型B型。大学卒業後の1996年に新聞社入社。司法・警察担当、支局、地方部、文化部を経験。2005年3月末退社。 新聞社では、事件事故、漁業補償交渉や合併・地方自治などを取材する一方、中高生向け紙面のリニューアルを担当し、「紙」媒体の価値と限界を認識。2004年9月にブログ「ガ島通信」をスタートする。既存メディアの問題点と意識改革、新しいメディアと参加型ジャーナリズムについて議論している。

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